鬼マネージャーとアトリエから少し離れた場所へランチタイム出かけた帰り道。
突然、鬼マネージャーが大声を出したので驚いて振り返ると、指先を震わせ
草むらに向け、目は一点を見つめている。これは、ただ事ではない。
蛇でもいたのかと思い指先の方を見ると目を疑った。
何とカブトムシがいるではないか。大都会であり得ないような遭遇に、
僕は興奮して「どうする!どうする!」と言いながら手はすでにカブトムシを掴んでいた。
元気が良く大きさも立派だ。虫嫌いの鬼マネージャーは恐る恐る近づき
「これは、絶対に天然物ですよ」と訳の分からないことを言いながらハンカチを差し出した。
僕はハンカチに包んで宝物でも見つけたような思いで、アトリエに急ぎ持ち帰った。
ユズ(アトリエのアイドル猫)に見せるとまずいと思い、玄関先で写真に撮ったり、
スケッチしたり大騒動だった。カブトムシはその後アトリエで一泊して新宿御苑近くに離した。
子供の頃を思い出させてくれた楽しいハプニングだった。